疲れ果てた僕の足下で影はだらしなくのびて
チューブからひねり出したような夕陽がビルにかかる
太陽と月はすれちがいざまに目配せを交わして
愚かなりにあがき続けてる僕たちを憐れむ
何に追われて僕たちは
こんなに焦っているんだろう

鳥は飛べる事を自慢になんて思っていないだろう
余計なものなんて手に入れたくはないはずさ
カラスだけは別だけど だから奴らは嫌われる
光るものならどんなものでも奪おうとするから
どれだけのものを蓄えたら
安心できるんだろうか

一度に持てるものだけで
生きていければいいだなんて
思いながら何も選べずに
いたずらに身体は重くなる
もう十分だと何度思っただろう

そして僕は少しだけゆっくりと歩いてみる
追いこしていく人の背中を観察してみる
流れの中で立ち止まる僕はきっと迷惑この上なく
頭の上を通り過ぎたカラスの行方を見送った
空に踊る影絵のような
何も恐れてはいなく見えた

嫌われ者にはそれなりの
誇りがあるんだろう
そうして生きていく事も
楽なものじゃなさそうだ
僕にもそれはわかる気がした
一度に持てるものだけで
生きていけるほど強くもない
ありあまるほどのものなんか
必要じゃないにしても
もう太陽は光をおとした
あのカラスたちもどこかに消えた

作詞・作曲 水永達也

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